女神イリオネスと、九ヶ月の飴玉
  脳裏に浮かぶのは、ヒュピヒュピから授けられた『小さな絆』という言葉。

 壮大な力を振るうアルテロスやアプロンと、しっかりと繋がっているアフディー。

 その眩しい絆の輪の中に、(私にも……繋げられるだろうか。たとえ、小さく細い糸だったとしても)と、独り心の中で問いかけていました。

 すると。足元にいた『食いしん坊のうさぎ』が鼻をクンクンさせ、イリオネスの胸元に飛びつこうと、ジャンプを繰り返していました。

 その仕草に、アフディーが不思議そうに覗き込むと、イリオネスはハッとして顔を上げました。

「ああっ、そうでした」

 イリオネスは大切に懐にしまっていた、ヒュピヒュピから譲り受けた小袋を取り出します。

 中には、宝石のような飴玉たちがカラカラと幸せな音を立てています。

「これは眠りの神ヒュピヒュピから、いただいた者です。せっかくですから、みんなで食べませんか」

 袋が開かれ、中から赤、青、黄色と、色とりどりの輝きが溢れ出すと、アフディーは目を輝かせ、召喚獣たちの親しみが自然に、『早く見せてと』せがむ様に近づきます。

 アフディーは指先で一粒つまみ上げると、肩に乗る『さよならを告げるカタツムリ』の口元へ、優しく運んでやりました。

  イリオネスも、『情熱的な青い鳥』と、足元で見つめる『食いしん坊のうさぎ』に、手渡していきます。
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