Sugar Space ~5次元から来た君に恋をした~
午後になり、うちゅうは自分で冷蔵庫を開け、
飲み物を探そうとして、牛乳のパックを傾け過ぎて
少し床にこぼしてしまった。


「あっ……ごめんなさい。」

慌てるうちゅうの頭を、佐藤は優しく撫でた。

「大丈夫。こぼしたくらい、気にしなくていいよ。
どこも濡れてない?
いっしょに拭こう。」

うちゅうは床を拭きながら、申し訳なさそうに言った。

「佐藤さん…ごめんね。
わたし、迷惑かけてばかりで…」

佐藤はうちゅうの顔を覗き込み、微笑んだ。

「迷惑なんかじゃないよ。
うちゅうが一生懸命、覚えようとしてくれるのが
すごく嬉しい。
ゆっくりでいいから、いっしょに覚えていこう。」

うちゅうは少し潤んだ瞳で彼を見つめ返し、
小さな声で言った。

「…佐藤さん、優しい。
わたし、もっとがんばるね。」


その日の夜、佐藤がデスクに向かい作業をしていると
うちゅうはソファに座って今日教えてもらったことを
星屑を空中に浮かべながら復習していた。

「トイレ…洗面所…お風呂…洗濯機…冷蔵庫……」

佐藤はその様子を見ながら優しく微笑んだ。

(この子は本当に、一生懸命なんだな…)

星屑がちらちらと舞う部屋の中で
ふたりの穏やかで、あたたかい日常が
ゆっくりと始まっていた。

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