執拗な恋、夜を飲み干す。
もう一人の常連との出会い
 最近では、席に着くや否や、注文より先に告白をするようになった。
 今日でついに、二十回目。

 完全に開き直ってしまったせいか、もう恥ずかしいなんて気持ちは、とっくにどこかへ消え失せていた。

 最近は少しずつ、店に滞在する時間を増やすようにもしている。一秒でも長く同じ空間にいて、彼の言葉を聞きたい。だけど、本来の人見知りが出て、気の利いた会話なんて一つもできない。


「好きです!」


 周囲に他のお客さんがいても構わず、真っ直ぐに想いをぶつける。対する玲さんは、いつものように困ったような苦笑いを浮かべるだけだ。


「ありがとうございます、今日は何飲まれますか?」

「…カシスオレンジで」


 これもいつも通りだ。落ち込むな、私。

 大人しくカウンター席に座り、飲み物が届くのを待つ。

 羞恥心は薄れてきた。それでも、何度も空振りを繰り返せば、だんだんと折れてくる。分かっていたことなのに、こうして弱音が漏れてしまうのは、私がそれほどメンタルの強い人間ではないからだ。

 それなのに、私はこんな無茶な恋の仕方をしている。終わりが見えないから、ずっと苦しい。

 目の前にカシスオレンジが差し出される。


「ありがとうございます」


 私は短く礼を述べると、グラスを掴み、その冷たい液体を喉奥へと流し込んだ。
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