執拗な恋、夜を飲み干す。
「あの、まあ、はい…」

「玲くんのどこが好きなんですか?」

「え、もう、まずは真っ先に何と言ってもあの顔…」

「ああ、よくわかります」

「同じ匂いすんな、お前ら」


 誰もが認めるあの顔の綺麗さ。画面越しに見ただけでもうっとりするほどで、私個人の感想だけれど、きらきらしているアイドルや俳優よりもずっと胸がときめく。

 それに、あの雰囲気。ふんわりと柔らかいところも、ふとした瞬間に感じるどこか冷たいところも、すべてに惹かれてしまう。

 まだ彼のことを何も知らないから、中身まで好きだなんて大それたことは言えないけれど、もっと知りたい、もっと近付きたいと思う。


「…今、こんな状態でこんなに好きなのに、もし、もっと知っちゃったら、どうなるんですかね、私」


 ふと気を抜いて、とんでもない本音を漏らしてしまった。

 それを聞いた夏帆さんが、口元を片手で押さえてこちらを見つめている。私は慌てて顔を逸らした。

 玲さんに好かれているわけでもない女がこんな発言をするなんて、気持ち悪いにもほどがある。周りに引かれるようなことばかりしている自分が情けなくて、じわじわと羞恥心が湧いてくる。


「きゃー! 初々しい、可愛い!」

「何アラサーが騒いでんだよ」

「うっさい!」


 二人が賑やかに言い合っていると、BOX席の対応を終えた玲さんが戻ってきた。


「何盛り上がってるの?」


 自分のことが話題の中心だとも知らず、そう問いかける。

 彼の顔を近くで見た瞬間に更に顔が火照った。
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