執拗な恋、夜を飲み干す。
「玲くんには出来ない話よ!」


 夏帆さんはそう言って、「ね?」と私に同意を求めてきた。私は何も言えないまま、両手で顔を覆って俯くことしかできない。

 玲さんが近くに来ると、喉の奥が詰まって言葉が出てこなくなる。こんな調子で彼のことをもっと知りたいなんて、あまりにも烏滸がましすぎるのでは。


「玲、お前もうちょいあっち行ってこいよ。お前のせいでしらけた」

「はあ?理不尽過ぎない?」

「ち、違うんです…! 大好きな人がそこに居ると上手く話せなくて…」


 言い合いを始めた二人のフォローをしようとしたのに、またしても、こっぱずかしい本音をぶちまけてしまった。どうして私は、何かをしようとするたびにこうも空回りするのだろう。

 夏帆さんは両手で口元を押さえている。雅さんと玲さんは一瞬顔を見合わせたあと、雅さんは口元を緩ませており、玲さんは眉をひそめてリアクションに困ったような顔をしていた。


「ちょっと、こんなかわいい子に会った事無いんだけど…!」

「ほら、もう俺等はお邪魔みたいだし行こうぜ」

「いつも気なんて遣わないくせに、こういう時ばっかり君はさ…」

「感謝する事になると思うけど。俺らが居なくなって」


 そんな会話を残して、夏帆さんと雅さんは連れ立ってこの場を離れていった。

 今は二人きりにしないでほしかった…!

 大好きな相手が目の前にいて、先ほどから取り返しのつかないやらかし発言を連発しているこの状況。穴があったら入りたい。
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