執拗な恋、夜を飲み干す。
玲さんは慣れた手つきで自分の分も用意すると、そのグラスを手に私の隣へと腰を下ろした。バーカウンター越しではない、肩が触れそうなほどの距離感に、不意に心臓が大きく跳ねた。
玲さんは私の動揺に気付く様子もなく、一口飲み物を口に含んでから、グラスを見つめた。
「ここ、元々俺がお世話になってたバーなんです」
「え?」
「店開く前かな。最初は大学一年で時給がいいからって、応募したアルバイトだったんですけど、一目見た時に、どうしてもこの仕事やりたいって思って」
「どうして?」
「んー、ガキみたいなことしか言えなくて申し訳ないんですけど、その当時は綺麗だなって思ったんです。分量通り、作り方をきちんとして出来上がったカクテルが。作ってるマスターの姿も格好良くて、それで」
そう言って少しだけ笑う玲さんの表情は、今まで見た中で一番優しかった。この仕事が本当に、心から好きなのだというのが伝わってくる。
「…それに、俺が唯一やりたいって思えた仕事で、今の店も仕事も俺には何よりも大事なんです」
「…はい」
「だから、今の店を守り続けるには、それ以上に大事なものがあると、なんとなくどちらかを蔑ろにしなきゃならない気がして…。俺は器用な方でもないし、どっちも大事にとか、そんなこともできない」
心臓をじわりと締め付けられるような感覚。
遠回しに振られているのだと悟った。
彼は今、どうして私の気持ちに応えられないのかを、精一杯の誠実さで説明してくれている。
「…私の気持ちは、迷惑ですか?」
喉の奥が熱い。苦しくて、辛い。
それでも、涙だけは絶対に流さない。ここで泣いて、彼に「そんなことない」と気を遣わせてしまうのは卑怯だと思ったから。
彼の本音を受け止めるために、私は必死で奥歯を噛み締めた。
玲さんは私の動揺に気付く様子もなく、一口飲み物を口に含んでから、グラスを見つめた。
「ここ、元々俺がお世話になってたバーなんです」
「え?」
「店開く前かな。最初は大学一年で時給がいいからって、応募したアルバイトだったんですけど、一目見た時に、どうしてもこの仕事やりたいって思って」
「どうして?」
「んー、ガキみたいなことしか言えなくて申し訳ないんですけど、その当時は綺麗だなって思ったんです。分量通り、作り方をきちんとして出来上がったカクテルが。作ってるマスターの姿も格好良くて、それで」
そう言って少しだけ笑う玲さんの表情は、今まで見た中で一番優しかった。この仕事が本当に、心から好きなのだというのが伝わってくる。
「…それに、俺が唯一やりたいって思えた仕事で、今の店も仕事も俺には何よりも大事なんです」
「…はい」
「だから、今の店を守り続けるには、それ以上に大事なものがあると、なんとなくどちらかを蔑ろにしなきゃならない気がして…。俺は器用な方でもないし、どっちも大事にとか、そんなこともできない」
心臓をじわりと締め付けられるような感覚。
遠回しに振られているのだと悟った。
彼は今、どうして私の気持ちに応えられないのかを、精一杯の誠実さで説明してくれている。
「…私の気持ちは、迷惑ですか?」
喉の奥が熱い。苦しくて、辛い。
それでも、涙だけは絶対に流さない。ここで泣いて、彼に「そんなことない」と気を遣わせてしまうのは卑怯だと思ったから。
彼の本音を受け止めるために、私は必死で奥歯を噛み締めた。