執拗な恋、夜を飲み干す。
「カウンター席でもいいですか? BOX席もあるけど、きっと落ち着かないですよね」
彼の気遣うような提案に、私はコクッと小さく頷いた。
促されるままに腰を下ろす。カウンターには一人客しかいないようで、皆、思い思いの時間を静かに味わっているようだった。
彼はそのままカウンターの内側へ回ると、私の正面に立った。
「何飲みますか?」
問いかけに答えられず迷っていると、彼は少しだけ声を弾ませて笑い、メニュー表を差し出してくれた。それと同時に置かれたのは、黒く、微かな艶を放つ名刺。
そこには相原《あいはら》 怜《れい》という名前と、オーナーソムリエという肩書きが記されていた。
「え、オーナーさん?」
「肩書きだけはね。でも、見ての通り二人でやってますし、オーナーなんてそんな大層なものでもないです。あそこの従業員は俺を上司扱いなんてしないですしね」
そう言って苦笑いする姿さえ、すごく魅力的。物腰は柔らかいのに、どこか底の知れない冷めた空気を感じさせる。
実際に会ってみたら、彼はますますわからない人だった。笑顔も話し方もこんなに優しいのに、ふとした瞬間に冷ややかな色が覗く。きっと、誰も気づかないほど、ほんの一瞬だけ。
その見えない部分をもっと知りたいと、私は彼に惹きつけられていく。
彼の気遣うような提案に、私はコクッと小さく頷いた。
促されるままに腰を下ろす。カウンターには一人客しかいないようで、皆、思い思いの時間を静かに味わっているようだった。
彼はそのままカウンターの内側へ回ると、私の正面に立った。
「何飲みますか?」
問いかけに答えられず迷っていると、彼は少しだけ声を弾ませて笑い、メニュー表を差し出してくれた。それと同時に置かれたのは、黒く、微かな艶を放つ名刺。
そこには相原《あいはら》 怜《れい》という名前と、オーナーソムリエという肩書きが記されていた。
「え、オーナーさん?」
「肩書きだけはね。でも、見ての通り二人でやってますし、オーナーなんてそんな大層なものでもないです。あそこの従業員は俺を上司扱いなんてしないですしね」
そう言って苦笑いする姿さえ、すごく魅力的。物腰は柔らかいのに、どこか底の知れない冷めた空気を感じさせる。
実際に会ってみたら、彼はますますわからない人だった。笑顔も話し方もこんなに優しいのに、ふとした瞬間に冷ややかな色が覗く。きっと、誰も気づかないほど、ほんの一瞬だけ。
その見えない部分をもっと知りたいと、私は彼に惹きつけられていく。