執拗な恋、夜を飲み干す。
「…玲さんの大事な人に、私なんかが会いに行ってもいいんでしょうか?」


 おずおずと問いかける私に、玲さんは少しだけ目尻を下げて笑った。


「喜ぶと思います。人と話すのが元々好きな人ですから」


 会ってみたかった。玲さんに好きだと言わせた、その女性に。語るだけでこんなにも愛おしそうな、それでいて切ない表情にさせてしまう、彼女に。

 きっと、玲さんは今でも彼女が好きだ。
 忘れられずにずっと、胸の奥に抱きしめたまま生きていくのだと思う。

 もし彼女が今もここに存在していたら、私は嫉妬したかもしれない。それでも、彼が笑っていられるなら、やっぱりそこにいてほしかったと思ってしまう。彼が他の女性と結ばれる姿を見るよりも、今のように苦しそうにしている姿を見る方が、ずっと辛いから。

 本来なら、彼は何も諦めることなく、もっと早くに幸せになれていたはずなのに。


「じゃあ、いきます。玲さんの大事な人に会ってみたいです」


 決意を込めて笑いかけると、玲さんも安堵したように微笑んだ。それから彼はスラックスのポケットからスマートフォンを取り出してこちらに視線をやった。


「連絡先教えてもらっていいですか?」


 なんと…! 玲さんと連絡先交換だなんて…!

 意識した途端、背筋がぴきっと凍りついたように固まる。あまりの挙動不審ぶりに、玲さんは不思議そうに小首を傾げている。

 私のLINEの友達リストに玲さんの名前が並ぶなんて。
 そんなの、毎日眺めてはニヤニヤしてしまう…!
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