執拗な恋、夜を飲み干す。
そして現在、私は玲さんの地元へと足を踏み入れていた。
そこは、和やかで静かな、どこか心落ち着く場所だった。適度に人の営みはあるけれど、私達がいつも過ごしている街のような喧騒はない。
ここが、玲さんの育った場所。
駅のホームから広がる景色を見渡した。
「しばらく歩くと思いますが、大丈夫ですか?」
「大丈夫です!」
玲さんは私の返事に一度短く頷いたものの、その表情は硬い。
十四年ぶりに"会う"のだと、彼は言っていた。亡くなってすぐにお墓参りに行って以来、どうしても足が向かなかった場所。
今日が彼女の命日。生きていれば、玲さんと同じ二十八歳。
明るくて正義感が強く、クラスの人気者だったという彼女は、どんな大人になり、どんな人生を歩んでいたのだろう。そんな叶わぬ想像に思いを馳せながら、私は玲さんの隣を静かに歩いた。
一度も会ったことのない私でさえ、こんなに胸が締め付けられる。玲さんはこの十四年、どれほど多くの夜を、どれほど深い後悔を重ねてきたのだろうか。
* * *
墓地に到着した瞬間、玲さんの足が止まった。
彼の視線の先には、一人の男性が立っていた。その男性が私達の足音に気付き、こちらにゆっくりと顔を向ける。相手もまた、玲さんの姿を捉えた瞬間に驚いたように目を見開いた。
「…明音のお父さんです」
玲さんが、私にしか聞こえないほどの微かな声で呟いた。
改めて男性に目を向けると、彼は静かに、そして深く一礼をされた。
十四年という歳月が流れても、お互いの中に残る記憶は色褪せていない。交わした視線の中に、言葉にならない歳月の重みが滲んでいた。
そこは、和やかで静かな、どこか心落ち着く場所だった。適度に人の営みはあるけれど、私達がいつも過ごしている街のような喧騒はない。
ここが、玲さんの育った場所。
駅のホームから広がる景色を見渡した。
「しばらく歩くと思いますが、大丈夫ですか?」
「大丈夫です!」
玲さんは私の返事に一度短く頷いたものの、その表情は硬い。
十四年ぶりに"会う"のだと、彼は言っていた。亡くなってすぐにお墓参りに行って以来、どうしても足が向かなかった場所。
今日が彼女の命日。生きていれば、玲さんと同じ二十八歳。
明るくて正義感が強く、クラスの人気者だったという彼女は、どんな大人になり、どんな人生を歩んでいたのだろう。そんな叶わぬ想像に思いを馳せながら、私は玲さんの隣を静かに歩いた。
一度も会ったことのない私でさえ、こんなに胸が締め付けられる。玲さんはこの十四年、どれほど多くの夜を、どれほど深い後悔を重ねてきたのだろうか。
* * *
墓地に到着した瞬間、玲さんの足が止まった。
彼の視線の先には、一人の男性が立っていた。その男性が私達の足音に気付き、こちらにゆっくりと顔を向ける。相手もまた、玲さんの姿を捉えた瞬間に驚いたように目を見開いた。
「…明音のお父さんです」
玲さんが、私にしか聞こえないほどの微かな声で呟いた。
改めて男性に目を向けると、彼は静かに、そして深く一礼をされた。
十四年という歳月が流れても、お互いの中に残る記憶は色褪せていない。交わした視線の中に、言葉にならない歳月の重みが滲んでいた。