執拗な恋、夜を飲み干す。
 だから、こんな私が今、周りのことなんて何も気にせずに、誰かを真っ直ぐ好きになれていることが自分でも驚きだった。

 ただ自分が幸せになりたいわけじゃない。この人を幸せにしてあげたい。そう思えることも恋なのだと知れたのは、玲さんのおかげだと思う。


「見てみたいな、絵」

「え、でももう何も残ってないですよ」

「そっか、残念」


 そう言いながら、玲さんは笑って歩き続ける。

 その柔らかい笑顔が、私は最高に好き。

 思わず見惚れていると、玲さんは私の視線に気づいたのか、少し照れくさそうに苦笑いしていた。


「あ、お腹減りましたね」

「そろそろお昼にしますか? 食べたいものあります?」


 今後、私達の関係性はこれ以上進まないのかもしれない。だけど、こうして好きでいることを許されている限りは、一つずつ、この人の好きなところを見つけていきたい。
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