指先で恋を伝えて
長い指。
しなやかな手首。

不思議だった。
妹へ向ける彼の手は、見ているだけで優しさが伝わってくる。

「こちら、実物サンプルもありますよ」

棚の上に置いていたサンプルを取ろうと、私は立ち上がった。

その瞬間。

「あ……」

肘がタブレットに当たり、机の端から滑り始める。

しまった、と思い手を伸ばした時には、もう遅かった。

けれど、落ちる寸前で、それを大きな手が支える。

「大丈夫ですか?」

低い声が近かった。
顔を上げると、すぐ目の前に雅人さんがいる。

タブレットを支える彼の手。
長い指が、私の指先に重なる。
たったそれだけなのに、指先が熱を感じて、心臓が跳ねた。
大きくて節のある手、触れ方は驚くほど丁寧で、まるで、壊れ物に触れるみたいだった。

「すみません」

そう言って、雅人さんの手は静かに離れていく。
私の指先に残った熱だけが、なかなか消えてくれなった。
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