指先で恋を伝えて

「いえ。こちらこそ、ありがとうございました。助かりました」

すると、彩羽さんが、雅人さんに向って悪戯な瞳を向け、両手で何かを言っている。
雅人さんは、少し顔をしかめ、否定するような動作をしていた。

不思議そうに二人のやり取りを見ていた私に、雅人さんは苦く笑いながら口を開いた。

「彩羽が、お兄ちゃん役得だねって、揶揄うから……」

「え?」

一瞬意味が分からず、数秒遅れて頬が熱くなる。

「……っ、では、デザインの続きを見ましょうか」

私は誤魔化すようにタブレットへ視線を落とした。
けれど、指先に残る熱のせいで、なかなか仕事に集中できなかった。

彩羽さんが選んだのは、シャンパンピンクにラメを入れたシンプルなデザイン。
ワンポイントで薬指にストーンをあしらい、上品なイメージに、可愛らしい雰囲気を残しながらも、少しだけ大人っぽく仕上げた。

施術が終わる頃には、外はすっかり暗くなっていた。

「お疲れ様でした。気に入って頂けたようで、良かったです」
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