指先で恋を伝えて
すると、彩羽さんが拍手をしながら小さく跳ねた。
その横で、雅人さんは目を見開き固まっている。
「……覚えて、くれたんですか」
雅人さんの低い声が、どこか掠れていた。
そんなに驚かれるなんて、考えてもみなかった。
ただ、私は二人と話したくて。
あの優しい手の動きを、もっと知りたくて。
それだけだったのに……。
「あ……ごめんなさい。お二人の手話が、とても素敵だったから……。でも、気を悪くさせてしまったのでしたら、お詫びします」
ちょっとした思い付きで、イヤな思いをさせてしまったのではないだろうかと、私は、深く頭を下げた。
すると、雅人さんの手が私の肩に触れる。
「謝らないでください。驚きはしましたが、どちらかというと感動した……というのが近い感じです。彩羽も喜んでいます」
彩羽さんが、嬉しそうに両手を動かした。
『ありがとう』
その動きを見た瞬間、私は思わず目を見開く。
まだ少ししか覚えていない。
けれど、その言葉だけは、ちゃんと分かった。
だから、私も手話で返した。
『私も、ありがとう』