逃げられるものならお好きにどうぞ。


「黒瀬くん、お腹空いてない? 年は明けちゃったけど、年越しそばでも食べる?」

「ん、食べたい」

「了解。準備するから、テレビでも観て待っててね」



鍋を出して蕎麦を茹でながら、冷蔵庫から山芋を取り出してすりおろす。最後に卵黄を落として葱と七味を散らして、温かいとろろ蕎麦にするつもりだ。

確か冷凍庫にきのこがあったはずだから、一緒に入れてしまおうかな。



「良い匂いがする」



テレビを観て待っていたはずの黒瀬くんがふらりとやってきた。



「とろろ蕎麦にしようと思うんだけど、黒瀬くん食べれる?」

「うん。百合子さんが作ってくれるものなら何でも美味しいからね」



私が蕎麦をゆで汁にくぐらせて盛り付けている様を、黒瀬くんは横に立って楽しそうに見つめている。

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