逃げられるものならお好きにどうぞ。
「……そういえば、さっきからスマホ、鳴ってたよ」
「スマホ? ……ああ、多分友達からのあけおめメッセージかな」
「ふーん、そっか。百合子さんは人気者だね」
出来上がった熱々のとろろ蕎麦が入った二つのお椀を、黒瀬くんがリビングまで持っていってくれる。
ソファに並んで腰かけて、一緒に手を合わせる。
「それじゃあ、いただきます」
「いただきます」
「……うん、美味しい。身体もあったまるね」
「ふふ、ならよかった」
蕎麦を啜りつつ、テーブルに置きっぱなしにしていたスマホに目をやれば、何件かのメッセージが入っていた。
予想通り、全てに「今年もよろしく」といった新年の挨拶が記されている。三奈や地元の友人、職場の親しい先輩後輩や、母親からのものだった。