逃げられるものならお好きにどうぞ。
「百合子さん、新年会に行くの?」
「新年会?」
「うん。さっき画面が見えちゃって」
黒瀬くんがスマホを指して聞いてくる。
「新年会……あぁ、これのことか。職場の年が近いメンバーで集まろうって話になってるんだ」
「へぇ。……それって、当然男もいるんだよね?」
職場の同期で結成されたグループライン。一行目に“新年会のお知らせ”と書かれたメッセージが入っていた。
年が近いメンバーで、一日の夜に集まろうという話になっていたのだ。
参加者は恋人や家族がいない独り身のメンバーでということになっていて、開催が決定したのが十二月の上旬だった。
その時にはまだ黒瀬くんとお付き合いをしていなかったし、同じく、まだ気になる彼との進展がなかった三奈に一緒に行こうと誘われて、参加を決めていたのだ。
経緯を詳しく黒瀬くんに話せば、
「ふーん……そっか。楽しんできてね」
と、あっさり了承される。その表情は笑顔だ。
以前、黒瀬くんは自らを“重いと思う”と言っていたから、こういう飲み会に参加することも渋られるかと思っていた。
――だけど、私の考え過ぎだったみたいだ。