逃げられるものならお好きにどうぞ。
今日は一月一日。元旦だ。
街中はお正月ムード一色で、大勢の人で賑わっている。
わざわざ年明け直ぐのこのタイミングで飲み会をしなくてもよかったんじゃないのか、とは思うけど、それを今更言ったところでどうにもならないのだから、仕方がない。
駅から徒歩五分のところにある居酒屋に足を踏み入れる。
店員に幹事の名前を告げれば、奥の座敷席に通された。
「あ、百合子―! 待ってたわよ」
私がきたことに真っ先に気づいた三奈が、手招きしてくれる。隣の席を確保しておいてくれたみたいだ。
「ごめんごめん、家を出る前にちょっとトラブルがあって」
「トラブルって何よ? ……あ、もしかして、例の彼氏くんに引き止められたとか?」
「んー…、まぁ……」
「ふふ、やっぱりそうなんだ。く~、新年早々惚気ちゃってまぁ! ご馳走様!」
まだ飲み会は始まったばかりだというのに、三奈は既に出来上がっているかのようなテンションだ。
つい先日二人きりで忘年会をした際に、ようやく黒瀬くんという彼氏の存在を話したばかりだから、こういった色恋話が大好きな三奈がこのノリになっているのも仕方のないことかもしれないけど。