逃げられるものならお好きにどうぞ。
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電車に乗って家まで帰ってきた私たち。黒瀬くんは当然のようにそのまま私の家に上がり込んでくる。
一旦自分の家に帰って、着替えもばっちり用意してきたみたいだ。
黒瀬くんは脱いだ靴をきちんと揃えて、脱衣所でうがい手洗いをしている。
――こういう姿を見ると、見た目やその言動は軽そうにも見えるけど、黒瀬くんが案外真面目なのだということを感じる。
些細なことだけど、それが少しずつ積み重なって――黒瀬くんの知らなかった一面に気づく度に、また好きの気持ちが膨らんでいくような気がする。
黒瀬くんに続いて私がうがい手洗いを済ませている間に、彼は慣れた手つきで電気ケトルに水を入れている。
家に黒瀬くんを呼ぶようになって気づいたことだけど、どうやら黒瀬くんは珈琲を好んで飲むみたいだ。家にくる度、いつも飲んでいる気がする。
どこのスーパーにも売っている粉末タイプのものだけど、今度はもう少し値段の高いものも買っておこうかな。
黒瀬くんがキッチンで準備している間に、私は着ていた服を洗濯籠に放り投げて部屋着に着替えた。
肌触りのいいスウェットで、冬場はこれを着ると家に帰ってきたと実感できて落ち着くのだ。