逃げられるものならお好きにどうぞ。
「……萌黄さんは知ってるんですよね? 今黒瀬くんが、何処にいるか」
「うん」
「教えてください」
「それはいいけど……いいの? せっかく椿が、君のためを思って離れたっていうのに」
「そんなの、私は頼んでません」
「……それに、危険かもしれないけど」
「大丈夫です」
「そう? それに……椿に会いに行ってどうするのさ」
「黒瀬くんから、直接話を聞きます。もし本人が、私のことを思って身を引くとか、そんなふざけたことを言ってくるようなら……一発ぶん殴ってきます」
私の返答に瞳を瞬いた萌黄さんが、ぷっと噴き出した。
「っ、あっはっは! 何それ最高! 椿がぶん殴られるところ、おれも見たいなぁ」
萌黄さんはクツクツと笑いながら、胸元から取り出したメモ用紙にボールペンを走らせている。