逃げられるものならお好きにどうぞ。


「ま、おれはこれから別件があるから同行できないのが残念だけど……はい、これ。一応簡単な地図ね。椿は此処の倉庫付近にいるはずだよ。確か2-Cで落ち合う予定だって言ってたかな」

「っ、ありがとうございます!」

「うん、頑張ってねー」



ひらひらと手を振る萌黄さんにお礼を告げた私は店を飛び出した。駅まで走って、丁度空車だったタクシーを拾う。

地図を見せて行き先を告げれば、タクシーは緩やかに走り出した。



逸る気持ちを抑えるように、膝の上で組んだ手をぎゅっと握りしめながら――目的地に到着するまでの数十分、黒瀬くんのことを考えていた。

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