逃げられるものならお好きにどうぞ。
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辿り着いた場所は港の近くで、大きな倉庫が軒を連ねている。暗くてあまりよく見えないけど、見渡す限り人影は見られない。
タクシーを降りて倉庫の裏手を進んでいけば、微かに話し声が聞こえてきた。
足音を立てないように、ゆっくりと静かに近づく。
声はこのコンテナの向こう側から聞こえてくるみたいだ。
死角になる場所からそっと顔をのぞかせれば、数メートル先には八人程度の男性がいて、一様に高らかな笑い声を上げている。
その顔には笑顔が浮かんでいるはずなのに、辺りを漂う雰囲気は、薄気味悪い不穏さで満ちている。そこにあるのは、誰かを嘲笑する声だけだからだ。
そして、こちらに背を向けていた一人の男性が、一歩横に移動すれば――そこに、捜し人を見つけた。
(っ、黒瀬くんだ……!)
暗がりの中、遠目からでも分かった。
背格好もそうだけど、あの儚げながらも洗練されたような独特の雰囲気は、黒瀬くんで間違いないって。