逃げられるものならお好きにどうぞ。
「おいおい、その程度かよぉ」
「皇組の番犬ちゃんも大したことねーんだな」
「帰ってママのおっぱいでも吸ってな」
「ギャハハ、おいおい、そんなはっきり言ったら可哀そうだろ~?」
男たちの下卑た笑い声が響き渡る。
だけど黒瀬くんはその声に一切反応することなく、静かに立ち竦んだままだ。
「何だよ、コイツ、ビビって声も出せねーんじゃねーの」
「あの噂もデマだったんだろ。だから言ったじゃねーか、コソコソ逃げ隠れする必要なんてねぇってな」
「むしろ、わざわざ全員で集まる必要もなかったんじゃね?」
最後の男の台詞に、俯き黙ったままだった黒瀬くんがピクリと反応を示した。
おもむろに顔を持ち上げて、短い一言を吐き出す。
「うるさいなぁ。……雑魚が騒ぐなよ」
黒瀬くんの煽るような言葉に、男たちの笑い声がピタリと止んだ。