逃げられるものならお好きにどうぞ。


「あの……それなら、私も一緒に買い物に付き添ってもいいですか?」

「え?」

「買い物です。皇さんの好みは分からないので、私はお役に立てないとは思いますけど……」



こんな表情をする美代さんを見ていたら、応援してあげたいという気持ちがムクムクと湧き出てしまって。

試しにと提案してみたら、美代さんは長い睫毛て縁取られた瞳をぱちりと瞬いて――その表情を明るくする。



「ほんとに? それなら週末にでも行きましょ!」



――行かないとばっさり切り捨てられるかもしれない、とも思っていたのだけど。

予想に反して、美代さんはその美しい相貌にパッと花の咲くような笑みを広げて、私の両手を握った。



「女の子と買い物に行く機会って中々ないのよねぇ。買い物ついでに、お洒落なカフェとか行きましょうよ」

「は、はい」



きゃっきゃっと楽しそうに予定を考えている美代さんに相槌を返していれば、何故か今度は黒瀬くんがむくれている。

表情は笑顔なのに――そこに不機嫌な色が滲んでいることに気づいてしまった。

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