逃げられるものならお好きにどうぞ。
(んー、どれがいいかなぁ……あ、あれとか良さそう)
美代さんとアイコンタクトをとって、物珍しそうに辺りを見渡す男性二人に声を掛ける。
「あの、エアホッケーしませんか?」
「エアホッケー?」
私の唐突な提案に、黒瀬くんがコテンと首を傾げる。
皇さんもホッケー台を興味深そうに見ながら、不思議そうな表情をしているのが分かる。
――何故私がゲームセンターに行くことを選択したのか。
何故ならこういう勝負事で男女間の仲が深まることがあるのだと、聞いたことがあるからだ。
ちなみに情報提供者は、学生時代に男女数名でボーリングに行った際にはかなり盛り上がり、その後付き合う子もいたのだと教えてくれた三奈である。
「いいじゃん。俺、百合子さんと同じチームね」
黒瀬くんは私の思惑に気づいてくれたのか、私とペアを組みたいと言ってくれた(ただ単に、椿が百合子とペアを組みたいという気持ちが九割を占めていたのだが)ため、私もそれに頷いて返す。
「あの、それじゃあ美代さんと皇さんがペアってことでいいですか?」
「あぁ、俺は構わねぇぜ」
「……わ、私も別に、構わないけど」
美代さんは少しだけどもりながらも、了承の言葉を返している。
美代さん頑張れ、と心の中でエールを送りながら、私たちは二人ずつに分かれてホッケー台の前に立った。