逃げられるものならお好きにどうぞ。
「おい椿、テメェ……あんま調子に乗ってんじゃねえぞ?」
――え? ……えっ、今の声って……美代さん、だよね?
視線を前方に向ければ、マレットを構えた美代さんがぎらつく目で私たちを見据えている。
その表情は、獲物を狩る肉食動物を彷彿とさせるような――それくらいの並々ならぬ気迫を感じる。
正直怖い。普段の美代さんとは別人だ。
「あー……百合子さんはちょっと下がってていいよ。ああなった美代さん、結構やばいからさ」
黒瀬くんはそんな美代さんの姿も見慣れているのか、からりと笑って私の前に立った。
そして、その後は黒瀬くんの言う通りで――本気モードに入った美代さんの猛攻は、凄まじかった。
黒瀬くんが撃ち込んだパックはことごとく美代さんに打ち返され、私たちは成す術もなくあっという間に負けてしまったのだ。