逃げられるものならお好きにどうぞ。
「そうだな。本当に……男とは思えねぇくらい可愛い面してるってのにな」
「はい。本当に、男とは思えないくらい……、……えっ?」
――皇さん、今、何て仰いましたか?
聞き間違いかと思って問いかければ、一言一句、違わない言葉が返ってくる。
「ん? 男とは思えねぇくらい可愛い面してるって言ったんだ」
「……えっと、その可愛い面をしてるのって……」
「? あぁ、美代のことだ」
――まさかの衝撃の事実に驚き固まっていれば、皇さんに「おい、どうした?」と顔の前でひらひらと手を振られる。
そこに、飲み物を買いに行っていた黒瀬くんと、お手洗いに行っていた美代さんが一緒に戻ってきた。
「み、みみ、美代さん……!?」
「ちょ、ちょっと何? どうしたのよ」
戸惑った様子で顔を顰めている美代さんに詰め寄る。
「み、美代さんが、お、男っていうのは……あの……」
「……あぁ、そのこと。そうよ。言ってなかったっけ?」
美代さんは私の言わんとすることを察したらしい。けろっとした表情で肯定される。