逃げられるものならお好きにどうぞ。
「まぁ、それは慎二さんのためのものでもあるから……椿のためだけじゃないのよ? そこのところ、勘違いしないでよね?」
「……はあ? 百合子さんのチョコは俺だけのものだから」
「そんなの無理よ。百合子ちゃんが一緒に作ってくれなきゃ、私一人で作れるわけないじゃない」
「……やっぱり一緒に作るの止めなよ。百合子さん、一人で作ることにしない?」
「ふっ、残念ね。もう決まったことなの」
――また始まった。この二人は本当に、仲が良いのか悪いのかよく分からないな。
睨み合う二人は放っておくことにした私は、美代さんでも作れそうな、比較的簡単なチョコレート菓子のレシピを片っ端からブクマすることにしたのだった。
美代さんと一緒に、満足のいくものが作れたらという気持ちはもちろん……初めてのバレンタインだし、黒瀬くんに美味しいって喜んでもらえるように、頑張りたいな。