逃げられるものならお好きにどうぞ。
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そして、来たる週末。
インターホンの音に玄関扉を開ければ、そこに立っていたのは美代さんと――何故か隣には、黒瀬くんもいる。
「……何で黒瀬くんがいるの?」
「私が到着した時には、もうアパートの前に立ってたのよ」
「だって、美代さんばっかりするいだろ? 俺も百合子さんと過ごしたいし」
黒瀬くんは、私と美代さんから訝し気な視線を受けても悪びれた様子もなく微笑んでいる。
「大丈夫。俺、キッチンには入らないようにするから」
「まぁ……それならいいけど」
私と美代さんがキッチンに向かえば、黒瀬くんは宣言通りにリビングのソファに腰を下ろした。
一緒に過ごしたいって言ってたけど、それじゃああまり意味がないんじゃないかな? なんて思ってしまうけど――黒瀬くんが考えていることは、たまによく分からない。
私が黒瀬くんの行動を不思議に思っていることに気づいたのか、美代さんは手を洗いながら、リビングの方を一瞥して小さな溜息を漏らした。