逃げられるものならお好きにどうぞ。


「あの……よければ黒瀬くんの話、もっと聞かせてもらえませんか? その、言える範囲で良いので……」

「……しょうがないわね。これはチョコのお礼だからね」



ニヤッと笑った美代さんは、黒瀬くんと一緒に任務に当たった時のエピソードや、皇さんの指示で黒瀬くんが女装をして敵対する組の幹部会に潜入していた時の思い出話など、色々なことを教えてくれた。


そんなことを話しながらチョコを作っていれば、時間はあっという間に過ぎ去っていて、待ちくたびれたらしい黒瀬くんがキッチンに顔を出したことにより――


「ちょっと! ここは男子立ち入り禁止よ?」

「ん? ……美代さんには言われたくないかな」

「は? ……喧嘩売ってんの?」

「売ってない。俺は百合子さんに用があるだけ」

「百合子ちゃんは私と女子トーク中なのよ」

「だから、――……」


――美代さんとのいつもの笑顔の応酬が始まってしまったのだった。

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