逃げられるものならお好きにどうぞ。
「確かに、このプレートも美味しそうだね」
「でしょ? サラダにライスにハンバーグに、色々のってるんだよ」
「それに量が多いから、これなら満足できそう」
「確かに……黒瀬くんいっぱい食べるもんね」
「じゃあ、俺がこれ頼むからさ、百合子さんはパンケーキにすればいいんじゃない? 少しずつ分けて食べようよ」
「……黒瀬くん、ナイスアイディア」
「だろ?」
得意げに笑う黒瀬くんに、私はグッとサムズアップする。
「それに百合子さん、少食だからね。プレート頼んでも、全部食べきれないんじゃない?」
「そっ、そんなことはないから! ……多分」
「ふーん、そう?」
「……分かってて言わないでよ。意地悪」
「ふはっ、ごめんごめん」
そんなことを話しながら歩いていれば、前方に見えていた男の子たちとの距離はあっという間に縮まっていた。
私と黒瀬くんが右端に寄っているのに対して、男の子たちは気にもせずに何人かで横並びに歩いている。
すれ違い様、鼻ピアスの男の子の肩が、黒瀬くんの肩にぶつかった。
――ように見えたけど、黒瀬くんは僅かに身体を逸らしてぶつかるのを避けていたらしい。さすがの瞬発力だ。
そのまま二人で談笑しながら歩いていれば、背後から声を掛けられる。
多分、先ほど先頭にいた鼻ピアスの男の子だ。