逃げられるものならお好きにどうぞ。
「黒瀬くんは何がしたい? 行きたいところとかある?」
「俺? 俺は……百合子さんが行きたいところに、一緒に行きたい」
「……それは私が行きたいところでしょ? 黒瀬くんはないの?」
「百合子さんの行きたいところが、俺の行きたいところだから」
「……ふふ、何それ」
「だって、百合子さんが楽しんでる姿を一番間近で見られるだろ? それだけで言うことなし。俺にとって、一番幸せで嬉しいことだよ」
そう言って、黒瀬くんは私の肩にコテンと頭をのせてくる。
横目に見れば視線が合って、大きな掌に頬を包まれた。
端正な顔が近づいてくる気配を感じて目を閉じれば、優しい口づけが降ってくる。
二度、三度と角度を変えて唇が触れるけど、それと同時に、腰元を撫でる怪しい手付きを感じて、黒瀬くんの身体を軽く押して抵抗する。