逃げられるものならお好きにどうぞ。


「ま、まぁまぁ、黒瀬くん。もう皆集まってるわけだし……今回は皆で行こうよ」

「……百合子さんはそれでいいの?」

「え?」

「俺は……百合子さんと二人きりで旅行に行けるって、すごく楽しみにしてたんだけど」



むくれた顔をした黒瀬くんが、私をジト目で見つめてくる。

……今こんなことを言ったらもっと機嫌を損ねてしまうかもしれないけど、拗ね顔の黒瀬くん、すごく可愛いな。それに、私との旅行を楽しみにしてくれていたことが伝わってきて、頬が無意識に緩んでしまいそうになる。



「それは……私だってそうだよ。でも、二人での旅行なんて、その……これから先、たくさん行く機会もあるでしょう?」



――だって私は、黒瀬くんと、これから先もずっとずっと一緒にいるつもりだから。



そんな私の思いを汲み取ってくれたのだろう。

パチリと瞳を瞬いた黒瀬くんは、不機嫌顔を崩すと、柔らかな表情で微笑んだ。

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