逃げられるものならお好きにどうぞ。


***


「っ、着いた……!」



高速道路を走ること、五時間と少し。

途中サービスエリアでの小休憩を二回挟んで、運転手を萌黄さんから皇さんに交代して――ようやく京都に到着した時には、時刻は十二時半を過ぎたところだった。


車を宿泊予定の旅館の駐車場に止めて、先にチェックインを済ませるために車から荷物を下ろす。


本来ならお昼前には到着する予定でいたから、二時間近くのタイムロスになってしまった。

皆で新幹線で行けたのなら、それが一番良かったのだろうけど……私と黒瀬くんの近くの座席が全て埋まっていた為、美代さんの提案により車で行くことに決まったらしい。



「百合子さん、俺が持つよ」

「あ、ありがとう黒瀬くん」



トランクに積んでいた小さめのキャリーケースを下ろそうとすれば、軽々と下ろしてくれた黒瀬くんはそのまま宿泊先の旅館まで持っていってくれる。

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