逃げられるものならお好きにどうぞ。


「百合子さん、明日はどうしよっか」



明日丸一日は、黒線くんの説得と皇さんからの一声もあって、二人きりで回れることになっている。

美代さん達は三人で観光するみたいだ。夕食時に、美代さんが美味しいお店を巡るのだと張り切っていた。



「そうだねぇ……予定では、着物を着て食べ歩きしたり、神社とかを巡るつもりだったよね」

「だね。予定通りで大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ。回りながらまた行きたい所が出てきたら、その時に考えよっか」



明日の話をしながら心地の良い湯に身を任せてのんびりしていれば、お腹の辺りに触れる掌に気づいてしまう。



「……黒瀬くん?」

「ん?」



名を呼べば、含みのある笑みを返された。

……これは、偶然手が当たったわけじゃないな。確信犯だ。

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