逃げられるものならお好きにどうぞ。
「よかった。それじゃあ……」
「え? っ、わ、ちょっと黒瀬くん……!?」
しょんぼり顔から一変して、ニコリと満面の笑みを広げた黒瀬くんに抱きかかえられた私は、そのまま布団の上に押し倒される。
「ちょ、ちょっと待って? 私まだ、心の準備が……」
「俺、百合子さんが嫌なことは絶対にしないよ。でも……百合子さんは、俺に触られるの、嫌?」
「……嫌、なわけないよ。ただ、その……」
――黒瀬くんは経験豊富そうだけど、対する私は正反対で、そういった経験はゼロと言っていい。だから、胸の中を占める恥ずかしさと、ほんの少しの恐怖心のせいで、どうしても身構えてしまうのだ。