逃げられるものならお好きにどうぞ。
「嬢ちゃん、よろしくな」
「はい、よろしくお願いします。私、こういうのはあまり得意ではないので、足を引っ張ってしまうかもしれませんけど……」
「はは、別にいいさ。楽しけりゃそれで十分だろ」
皇さんと話していれば、卓球台の向こう側から、美代さんと黒瀬くんの話し声が聞こえてくる。
「椿、分かってるわね? やるなら完全勝利よ」
「それは良いけど、狙うなら慎二さんだけにしてね」
「はぁ? アンタ、スポーツ舐めてる? そんなの無理に決まってるでしょ」
「はぁ、出たよ。美代さん、変な所で熱血出してくるからなぁ……」
黒瀬くんは深々と大きな溜め息を漏らしている。でも、何だかんだ言って、黒瀬くんもこんな風に皆で遊ぶことは好きなのだと思う。
呆れ顔の中に、楽しそうな色が垣間見える気がするから。