逃げられるものならお好きにどうぞ。
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(此処は……そうだ、私、変な薬を嗅がされて……)
ぼんやりする頭で辺りを見渡す。どうやら私は、倉庫のような場所に連れてこられたらしい。
手足は縄でしっかりと拘束されていて、自力で解くのは難しそうだ。
(昨日、皇さんに、仕事の邪魔にはならないように気をつけるって言ったばかりなのに……)
声を掛けてきた男が何者なのかは分からないけど、“皇組の若頭”と、はっきり口にしていたことは覚えている。つまり、組絡みのことで、私は拉致されたのだろう。
正直、あれは中々に回避が難しい状況だったとも思うけど……結局捕まって、迷惑をかけてしまっている。
だって皇さんたちは――黒瀬くんは、絶対に助けにきてくれるって、確信をもって言えるから。
そうしたら、また乱闘になってしまうかもしれない。
私を攫ったあの男性の目的は分からないけど、もし私を人質にしようと考えているのなら……私が捕まっているせいで、黒瀬くんたちが傷つけられてしまうかもしれない。