逃げられるものならお好きにどうぞ。
「……私は、皇さんの愛人なんかじゃありません」
「へぇ、そうなんだ。でも懇意にしているのは事実なんだよね? それなら、彼の弱点の一つや二つは知っているんじゃないかな?」
「弱点なんて、知らないです」
「でも、昨日は仲良さそうに歩いていたんだろう? 自らプレゼントまで渡すなんて、彼の方は、相当入れ込んでいるとみたけどなぁ」
どうやら、昨晩、皇さんと二人で罰ゲームの買い出しに行っていた所を目撃されていたらしい。
そこからどうして、愛人だなんて発想に至ったのかは分からないけど……。
「あれは……ただのお返しです。皇さんとは友人同士のつながりで知り合っただけで、お会いしたことだって片手で数えられる程度しかないんです。だから、私からお話しできることは何もありません」
怖いけど、嘘ではないと信じてもらえるように、男性の目を見てきっぱりと伝える。