逃げられるものならお好きにどうぞ。
――まずい。このままじゃ、絶対に椿くんのペースに流されちゃう。
昨夜はろくに夕食も食べられなかったからお腹も空いてるし、せっかくの休日だから買い物にだって行きたい。何とかしてこの空気を換えないと。
「そっ……そういえば! 椿くんって、夏休みに何か予定入れてたりする?」
――何か、何かこの空気を換えられる話題を……! と思って捻り出したのは、何故か二か月以上も先の話だった。
「……ふ、ふふ、百合子さんは、相変わらず話を逸らすのが下手だよね」
「……下手ですみませんね」
椿くんは肩を震わせて、笑いを堪えているみたいだ。
その肩をペシリと叩いて腕から抜け出し、キッチンに向かう。