逃げられるものならお好きにどうぞ。
「……どうしてお姉さんがここに? というか、ここって……」
「ここは私の住んでるアパートだよ。黒瀬くんのこと、家まで送っていったんだけど……ちょっと、一人で残して帰るのが不安になったから、連れて帰ったの。……あっ、言っておくけど、何もしてないからね! 服は汗かいてたから着替えさせたけど、その、なるべく見ないように気をつけたし……!」
黙って話を聞いていれば、俺が怒っていると勘違いしたらしいお姉さんは、あたふたとしながら必死に言い訳らしい言葉を並べ立てる。
「ふっ、何でお姉さんが焦ってるのさ。……看病してくれたんだろ? ありがとう」
俺の言葉に安心したのか、ほっと胸を撫で下ろしたお姉さんは、俺をソファまで誘導して待っているように言うと、そのままどこかに歩いていく。
向かった先はキッチンだったようで、冷蔵庫を開けて中を確認しているみたいだ。