逃げられるものならお好きにどうぞ。


ゆったりとした時間が流れる中、お姉さんはあっという間にシチューを作り終え、ダイニングにある小さなテーブルに皿を並べる。



そして出来上がったシチューを二人で食べた。付け合わせのパンもサラダもすごく美味しかった。


それだけでも十分過ぎるくらいなのに、お姉さんが用意してくれていたものは、まだあるらしい。



「その、言うのが遅くなっちゃったけど……黒瀬くん、改めて、お誕生日おめでとう」



そう言って、冷蔵庫からコンビニのショートケーキを持ってきてくれた。



「さっき急いで買いに行ったから、こんなものしか用意できなかったんだけど……」

「……」



何だか胸がいっぱいになって声も発せずにいれば、お姉さんは更に言葉を続ける。



「その、プレゼントもね、何が良いのか結局分からなくて決められなかったから、今日直接欲しいものを聞こうと思ってたんだけど……黒瀬くん、何か欲しいものとかある?」

「欲しいもの……」

「うん。あ、でもあんまり高額なものは無理だけど……! 思いついたら教えてね」

「……うん、分かった」

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