Fahrenheit -華氏- Ⅲ


二村さんと瑞野さんは―――


あたしのフォークで刺したお肉を口に運ぶ動作は止まった。一旦フォークとナイフをお皿に置くと


「同じ会社です」


あたしが答えると


「マジで!?」


葵さんは本当に驚いたのだろう、そこに演技じみたものは感じられなかった。彼はお肉を飲み込む途中だったのか激しくむせて、慌ててミネラルウオーターに手を伸ばした。


軽く咳をして、整ったのだろうか


「うっわ!複雑!」


と葵さんは顔をしかめた。


「ところで“ミミちゃん”とあなたがた二人のご関係は?」


動揺を悟られてはいけない。そっけなさを装ってすかさず聞くと、葵さんはあっさりと


「俺ら?


俺らは同じ団地で育った幼馴染。中学時代までほぼ毎日一緒につるんでた。


中学時代空汰とミミちゃんは付き合ってて、空汰のヤツ、ミミちゃん一筋でさ」


二村さんと瑞野さんには―――


過去に共通点があった。


あたしは確実に『何か』を得た感触を感じた。


フォークを握る手に力が入った。
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