Fahrenheit -華氏- Ⅲ
「た…確かに最初に瑞野さんと緑川さんと二村くんが三角関係にあるってあんたから聞かされたわ。それでハロウィンパーティーに呼べって言ってきたわよね」
思い出しように綾子が俺に指をつきつけ
「何それ」と桐島が目をまばたく。「社内で三角関係……面倒くさそー」
桐島、お前の意見は聞いてない。(←結構ヒドイ)
「つまりアレだな。二村は瑞野さんの気持ちを利用して稟議を横流ししてたってわけで、ついでに緑川さんを利用して副社長に取り入ろうとしている?」裕二が顎に手をつき唸る。
「サイテーだね、啓人以上に」桐島が目を細め、
おいっ!桐島!さりなく俺をサイテー呼ばわりしやがって!
「まぁ…、問題は瑞野さんが誰を好きかってとこなんだよな。緑川曰く、瑞野さんは他に好きな男がいるって」俺が首を捻った。
自惚れじゃなく、もしかして―――…と思ったことはある。
俺が熱を出して会議室で寝ていたとき、俺は瑠華と間違えて“誰か”にキスをした。その“誰か”が瑞野さんっぽい。と言うのは黙っておこう。
それこそ俺、サイテーだ。
「だったら尚、誰の為に稟議を横流ししたって言うの?瑞野さんがその稟議を二村くんに横流しにして彼女が得するって――――」
綾子は考えるように首を捻り、やがて大きく目を開き
「あんたか!」
突如として俺を指さしてきた。