Fahrenheit -華氏- Ⅲ
笑いながら、
「何だか昔に戻ったみたいだな」俺は裕二から焼酎の瓶を取り上げ、タンブラーに酌をしてやった。
「タイムマシン的な?あれって夢があるよね」桐島が笑う。
(桐島……お前こそ夢の中だな)
「でもさ、派閥がひっくり返ったら俺たちこうやって、楽しく飲める環境でいられなくなるかも、って思ったらさ、切ないよね」
桐島はビールの缶に口を付けながら微苦笑を浮かべ、目を伏せる。
「まだひっくりかえるって決まったわけじゃねーだろ。不吉なこと言うなよ」
裕二が桐島を睨んだ。
「例え話だよ。そうならない為に士気を上げていかなきゃ、ってこと」ビールを飲みながら、きゅっとクッションを強く抱く桐島。
「お前の一言で士気が上がったのか、下がったのか分からんわ」
俺がぐいと焼酎を飲むと
「二人ともマイナスなこと言ってないで!桐島くんがポジティブになってくれてるって言うのに」
(綾子……やっぱ桐島の味方だな。憐れ裕二。
なんて思ってる場合じゃない!)
「村木は騙された、と言うか利用されたんだ」
トン、と音を立てグラスをテーブルに置くと
またも三人が
「「利用?」」
と、聞いていた。