Fahrenheit -華氏- Ⅲ
20XX年11月7日
土、日を跨いだ週明けのその日、俺は一度だけ村木と瑠華と入った喫茶店に早朝7時と言う時間帯、ホットコーヒーを飲んでいた。
「結構うまいな」隣に裕二も居る。
「だろ?あの“陰険村木”が利用してたのが悔しいぐらいだ」
俺が顔を歪めると、ドアベルがチリンチリンと鳴った。
「その“陰険”のお出ましだ?」裕二が顎をしゃくり、俺が顔を上げると、
村木は深いため息をつきながら、相変わらず不健康そうな顔色で不機嫌を張りつけ腕を組んでいた。
「で―――?私に何の用ですか。わざわざメールまで寄越してきて」
そう……なのだ。先日の夜、裕二たちが帰っていった後、俺は村木にメールした。
会社用のナンバーしか知らなかったから、そこに送ったわけだけど。
てか俺…何で村木のナンバー消してなかったんだよ。まぁ助かったっちゃ、助かったが。
「それに君は、確か……神流部長の同期――…」村木は俺と裕二を見比べて目を細める。
「まぁま、色々事情がありまして、どうぞどうぞ」と裕二が愛想よく向かい側の席を進めると、気味悪いものを見る目つきで裕二を見ながらも村木は仕方なく、と言った感じで腰を下ろした。
マスターにホットコーヒーだけを注文すると
「で?話とは?」
コーヒーが運び込まれる前に村木がせっかちに聞いてきた。
俺と裕二は思わず顔を合わせた。
こいつに回りくどい言い方しても時間の無駄だ。
俺は二村が企ててることを洗いざらい喋った。