Fahrenheit -華氏- Ⅲ
もしかして瑠華は俺に新しいオンナが出来たのかどうか探っている…?
「おはよーございます」
いやいや、それは自惚れだろ……
「おはようございます。佐々木さん、週末私は2巻から5巻買いました。
読むのが遅くてちょうど二日かかりました」
それに、瑠華だって俺の知らない男と一緒だったじゃないか…
「二日……!?それは燃費がいいですね~。そうそう、早速DVDボックス見つけました!」
でも瑠華は―――慌てて隠そうとしなかった。
「早速ありがたくお借りいたします」
それは単にトラップにはまった様をわざと演出させてるだけだって…
「そうだ、佐々木さん。今日近くのカフェでランチしません?」
でもでも、俺の気を引きたいとか…?
「え?ランチですか!」
いや、逆に?俺なんてもう忘れましたーって言いたいんか。
「DVDをお借りするお礼で、御馳走しますよ」
分からん。
分からん!
何で瑠華と佐々木はこんなに仲良くなってんだよ!!
俺が一人悶々と悩んでるのに、楽しげにさっ!
知りたいと思えば思う程
「分からん!」
がばっと席を立ち上がると、それぞれのデスクについていた瑠華と佐々木が会話を止めてちょっと驚いたように目をまばたきさせていて、
「な、何が…ですか?またトラブルでも?」と佐々木がおずおずと目を上げる。
あー、俺!またやらかしちまった!
「トラブルだらけだ」俺は額に手を置き、ストンと椅子に逆戻り。
「今日の部長、変じゃありませんか?」と佐々木が瑠華に聞いていて
「さあ、大概変なので、今更何も思いませんが」
瑠華の冷たい一言に、俺の背後でひゅ~と木枯らしが吹いた。
これは
『部長のことなんてもう忘れました。いえ、むしろ始まってもいませんでした』
てクチ??(←俺の想像、何気にグレードアップしてて、その予想にまたもハートがぐさぐさえぐられる)