Fahrenheit -華氏- Ⅲ

そして同時に瑞野さんの言葉も思い出す。


『あたしは―――…』の後、何を続けるつもりだったのだろう。


知りたいが、知ってはいけない気がした。


はぁ


大きくため息をついていると


「何だよ、その何かありました~って顔は」と裕二が枝豆を食いながら呆れたように目を細める。


こいつには散々迷惑かけたし、迷惑かけられたしな。


今更隠すことでもない。


俺はかくかくしかじか、瑞野さんとの出来事を話し聞かせた。


「それってやっぱあの子お前に気があるんじゃ?てかハッキリ言う。


あの子はお前が好きなんだよ」


ズバリ、言い切られて俺は呑み込み途中だった焼き鳥を思わず喉に詰まらせそうになった。


やっぱそう…なのかな…


「あの子、結構…てかかなり?可愛かったしな~


こないだのハロウィンパーティーで初めて見たけど。


秘書課にあんなホープがいたとは…」と裕二はしんみり。


「お前、綾子一筋じゃねーの?」


「もちろん綾子が一番…て言うか世界一の美人に違いないけどな」


ああ、はいはい。てな具合で俺は手だけをあげた。


「この際だからサ、その子に近づいて色々引きだしてみるってのはどうだ?二村はあの子が好きなんだろ?」


「そうかもしれないけど、例えそうだったとしても、流石に瑞野さんは利用はできないよ」


「あー、まぁなー。話聞いてっと、あの子お前が好きっぽいしな。後々厄介なことになりそうだしな~」


「それもそうだけど、瑠華に変な誤解与えたくないって言うか―――」




てかもう誤解されてるだろうけど。




俺はまたガクリと肩を落とした。


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