Fahrenheit -華氏- Ⅲ

二村とどういった繋がりがあるのか分からないが、あの男は二村に近い人間。


家族、友人……


間違いなくトラップを仕掛けたのは二村の方が先だ。だが瑠華はそれを逆手にとって、二村からの情報を得た。




二重スパイ―――…




そうか、瑠華はあの男を二重スパイとして利用しているのだ。


どうやって利用したのかは分からないが、瑠華は恐ろしい程頭がいい女だ。


あの軽そうな男を操るなんて容易いことだろう。


「紫利さん、例えその接待の予約が入っても瑠華に教えないでくれ」


瑠華をこれ以上危険な目に遭わせたくない。


『どうして…?何か分かったら連絡するって言っちゃったわ。今更嘘をつくのはいやよ』


「でも、何をするのか俺も分からない。瑠華が危険だ」


真剣に言うと


はぁ、と紫利さんはまたもため息をつき


『青くさい坊やと違って、彼女はああ見えて手練(しゅれん)が良いわよ?』


分かっている、Fahrenheitを起ち上げ、その後マックスに買収されるまで闘った女だ。あらゆる修羅場を経験してきた彼女にとって、今回の件は楽な方かもしれない。


『まぁいきなり乗り込んできてどうこうするってタイプではないのは間違いないけれどね』


そう言われればそうだな。


瑠華がそんな短絡的なことをするわけがない。


『彼女から聞かれたのはあんたと同じこと。会社の内部事情のことで派閥問題のこと。神流派と緑川派がどれぐらいの対比なのか、大雑把でいいから知りたい、と。


考えてることは一緒なのね。離れていてもあんたたちは良い



パートナーね』



パートナー


瑠華は以前俺を(実際には佐々木も)パートナーと言ってくれた。


俺は……俺たちはやっぱりどこかで繋がっていられるのか―――


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