Fahrenheit -華氏- Ⅲ

「何だよ、俺のタイプを知ってるみてーな言い方」


そこまで親密な親子関係じゃなかっただろ?と含ませて言うと


「お前は昔から知的な美人系が好きだったからな」


ああ、うん……まぁ、外れてないケドね。


緑川は知的とは言いがたいし、美人系でもない。まぁ…?可愛い部類に……入るんか?あれは。


「だが銀座の女に…しかも人妻に手を出すのはいただけなかったな」


ごほっ!!


今度こそ派手にむせた。


な、何故紫利さんのことを!?


親父は憐れなものを見るような目つきで「可哀想にな、はじめての失恋が彼女じゃしばらく立ち直れなかったろ」と一言。


「ああ、そりゃもう、イイ女だったからな」


こうなりゃ開き直りだ。


てかあれは失恋?のうちに入るのだろうか。


まぁ失恋……だろうな。紫利さんは旦那の事愛してたから。


「緑川は知的な美人とは程遠い。そもそもタイプの顔じゃないし、あざといが、その上行動が読めん。俺はもっと品があって、色っぽくて…」


俺は手でヒト型を撫でるような手つきで宙を見つめ、その姿を「ほお」と親父が興味深そうに目を細めていて、はっとなった。


「てかあんたの方はどうなんだよ」


俺の話はどーでもいいんだよ。


「どうって?」と親父は首を傾げる。


「再婚とか、しないんかよ」


「相手がいない」とあっさりキッパリ。


「婚活パーティとか結婚相談所とか行けばわんさかいるだろ。あんたに群がる女どもがな」


認めたくはないが、親父は女子社員からかなりモテる。それは会長と言う職以外にルックスも含まれている。


悔しいがな!!


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