Fahrenheit -華氏- Ⅲ
扉が開いて
「はーい、お呼びですか?」と明るい女子店員…?見慣れない顔だけど…の声が聞こえてきて、抱き合っているように見える俺たちと、女子店員は同時に固まった。
え!?桐島はっ!?
「ごめん、遅くなっちゃって」と桐島が後から駆けつけてきて、女子店員の後ろ側から抱き合っているように見えるだろう俺たちを見て目を開いた。
何とかしなければっ!
「桐島、瑞野さん少し酔っぱらったみたい。トイレ、連れて行ってくれないか?そこの彼女にお願いしていい?」と女子店員を見ると
「うん、織田さん悪いけどお願いしてもいい?」
「あ……はい…」
オダと呼ばれた店員は瑞野さんの腕を持ち、
「大丈夫ですか?」と聞きながらトイレへと促していた。
桐島は無言で個室に入り、ぴしゃりと扉を閉めると
「どういうつもり!」と目を開いて凄んでくる。
「俺だって聞きたい!何でお前がこねーんだよ!こういう時の為のヘルプ要員でお前を指名してたのに」
「他のテーブルで声が掛かったんだよ、仕方ないじゃん!こっちも仕事だし。それよりもさっき見られたの…」
「オダさん…?」
「そう、織田さん。彼女本社勤務の同じ部署の子なんだよ」
桐島は頭痛を堪えるように額に手を置き苦い顔でがくり。
さ・い・あ・く